コミックレビュー

闇女(ヤミ・カノ)|憑依系能力を持った羨ましくないハーレム系男子の行く末が気になる

女性たちの闇を見続け、変わっていく青年の奇譚コミックが面白い!

大好きなゲーム(LOOP THE LOOP ~飽食の館~)のコミカライズを担当されているカズミヤアキラ先生について調べていたら、凄く好みな雰囲気の漫画を連載されていることを知り、1巻を購入してみました。

闇女(ヤミ・カノ)は、ひょんなことから憑依能力を身につけた大学生・潤を軸にし、『女性の裏の顔』をテーマにした作品です。

メインキャラは主人公である男性(潤)一人で他はぼぼ女の子!という一見ハーレム要素のあるコミックなのですが、女の子たちが全員ひっどい(ほめ言葉)性格・性癖持ちなので潤が全然羨ましくない!!!!
(ただし、潤もまともじゃないオチ)

男性一人だけが得をするハーレムものが苦手な管理人ですが、あまりにも羨ましくないっぷりが逆に面白い上、奈落感のあるストーリーがツボで読み続けている状態だったりします。

 

闇女(ヤミ・カノ)はこんな話

主人公・佐々木潤は、大学の教授からゴーストライター頼まれるほどの文才を持ちながらも、人の気持ちが理解できない性質柄、小説投稿サイト(いわゆる、なろう系の投稿サイト)では「人間味にかける文章」「感情移入ができない」「文体以前に感情のプロセスがダメ」などダメ出しをされまくってる日々を送っていました。

そんな中、あることをきっかけに憑依能力を身につけ、近所の結婚を控えた女性(異性が苦手な潤が唯一「いいな」と感じていた相手)の裏の顔を見てしまうことで人間(特に女性)が持つ闇に興味を惹かれ出してしまい……というところから物語が本格的にスタートします。

闇女(ヤミ・カノ)に本ハマりしたきっかけはこれ!

個人的に面白い!と思い、ページをめくるのが楽しくなったのは
女性が苦手な潤が、表情を緩める数少ない相手である美咲(同じアパートに住む女性)が持つ、極端性の強い裏の顔を知ってしまった際、ショックよりも恍惚感を抱き、「もっと女性の闇をみたい」と強く願う欲望が功を成し、今まで投稿サイトで低評価をくらいまくっていた小説の精度が格段に上がっていくところでした。
(作中で潤が小説を書きあげる早さが上がっていくのと、ユーザからの評価が右肩あがりになっていくシーンがさり気なく描写されています)

人の闇を知る度に悦びに浸る潤が素で『自分はまとも』と思ってる感がいい!
あと、基本的に潤は人を見る目が壊滅的にないっぽく、潤が「いい人」と評価するだけでフラグが立つのも地味に笑いのツボを押してきます。
1巻を読み終えると潤の高評価は、二度と信じねーぞ!!!という気分になってしまったり。

 

そして、周りの女性が全員おかしいところも超絶妙なスパイスです。

メインとして出てくる、お兄ちゃんが大好きな妹・雛は、行動力の強いヤンデレ系。
(潤は、過去に自分のシャツの匂いを嗅いでビクンビクンしていた雛を見てしまったのがきっかけで苦手意識を抱いています)

サバサバ系かつ人懐っこい幼馴染・由妃は、メンヘラビッチの超絶地雷女。
(彼女のエピソードは結構刺激が強いのでご注意くださいませ。詳細書いたらこのブログ吹き飛んじゃう…)

美人な准教授・速水は上品な雰囲気を出しながらも、潤にゴーストライターを依頼している教授と、ヤバい関係を持っているトンデモ女。
(速水のエピソードも由妃に負けず凄いです。おっさんの縛り絵がある的な意味で)

などなど、個性豊か。

更に、雛が潤へ依存する原因や、潤の憑依能力についてなど、ミステリー・ヒューマンドラマ要素も交っており、物語がどう行きつくのかが気になるところが好きだったりします。

管理人
管理人

刺激的なシーンがあるので、好き嫌いが出てしまうかもしれませんが、大丈夫な方にはストライクな内容かと思います。
現実世界におけるダーク系が滾る方はぜひぜひ!

私としては、潤と雛がそれぞれ抱く闇の根本がどんな風に開示され、どう締め括られるのかが楽しみで仕方ありません。
また、カズミヤアキラ先生の描かれるキャラクターの表情がとても絶妙で、見入ってしまうのもお気に入りポイント。

LOOP THE LOOPのコミカライズ版と併せて大応援したい作家様です!