コミックレビュー

誰が悪なのか分からない「凪のお暇5巻」の描写が相変わらずエグい件

空気を読みすぎて空気の吸い方を忘れてしまった女性・凪の奮闘記ストーリー「凪のお暇」

前回の4巻では、凪が脱メンヘラをしたり、ゴンが凪への恋心(?)を自覚したり、坂本の意外な一面や成長劇、慎二に新たな恋の予感が発生するなど、ひたすら衝撃を受けた1冊となっていました。

今回の5巻も4巻に負けずパンチ力がかなり高い…いや、パンチが胸に刺さって痛い内容となっています。

会話ができない人は実は相手を●●しているから?
若い、美人ってだけで勝手に空気を悪くされる女性は何をしたら許されるの?
あなたの言う「分かる」って本当に相手を理解している?

作中でキャラクターが問われる疑問、気づいたら自分にも問われている恐ろしい1冊です。

以下では私が個人的に面白かった部分をピックアップしております。
普通にネタバレをしているので未読の方はご注意くださいませ。



凪のお暇5巻で学べる「本当の聞き上手」と「空気クラッシャーの意味」

自称・聞き上手な凪の意外すぎる姿が闇深

4巻でお世話になったバーで働くことになった凪は、お客さんとのコミュニケーションが上手く取れず、苦悩することに。
(お客さんから話題を振られても速攻で話が終わってしまう)

バーのママがそんな凪に対して放った言葉は
「あんた、人に興味ないのかと思ったよ。そもそも会話のボール投げてすらないじゃない」
でした。

一瞬、言葉の意味が分からない凪でしたが、よくよく考えると
お客さんからの「●●好き?」「●●って知ってる?」などの問いに内心、
「話題に興味すらわかない」「むしろ、この人たちと話しても有益じゃなくない?」
と感じていたことを自覚します。

また、とある経緯で慎二と再会した際には、『自分にとっていい人じゃない人は汚物として排除する性格』を指摘される姿も。

凪が決して純白で可哀想なヒロインではないというコナリ先生の描き方が非常に絶妙で個人的に一番好きだった部分だったりします。
そして、凪のダークな部分につい「自分も同じことしてたかも?」とつい感じて寒気がするシーンもあったり。

慎二の凄さを初めて感じる凪の描写も!?

今まで凪が自分を聞き上手だと錯覚していたのは、慎二が気を使って自分に話題を振っていたから。
慎二の言う「分かる」は自分の上辺だけの「分かる」とは違う。
重い空気を上手い具合に調整し、全員が笑える場を作れる慎二。

5巻内では、凪がバーでの仕事を通じて慎二の尊敬できる部分を知るシーンが多々描写されています。
新しい職場で新しい人物と接するからこそでもあり、凪が成長したからこそ分かった慎二の一面。

また、苦手なお客さんを見ていくうちに、慎二が絶対にしなかったことも知る描写もあり。
最終的に凪は「私、慎二のこと苦手なんじゃなくて尊敬していたんだ!」という解釈オチで終わり落胆する慎二でしたが、二人の関係はまだまだ切れなそうな予感がしました。

 

ゴン、凪へ順調に惚れていっている様子

4巻で凪への恋心的な意識をしていたゴンですが、今回も所々で今までにない変化が。
凪と話す際、やたらと緊張(しかも無自覚に)していたり、凪が職場の友達と一緒に居るのを見てジェラシー的な感情を出したり…
読者的には「ゴンさん、それ恋や!」って教えてあげたいくらい乙女でした。
たぶん、近くに元カノのエリィがいたら絶対に指摘するやつ。

今後、ゴンが自身の感情を理解して受け入れた際、凪へ改めて告白するパターンもありそうです。
その時、凪がどんな対応をするのかも気になるところ。
(二人は一線を超えているのでゴンが一定の距離を保ちつつ誠実にお付き合いを求めたら凪的にはありになるのでは?と予想)

 

新キャラクター・市川の天然コミュニティークラッシャー性質が辛い

凪によく似た女性・市川は非常に有能なものの、見た目が可愛い上に、八方美人なことから今まで所属していたサークルやグループ、職場の空気を壊してしまう天然コミュニティークラッシャーなのが発覚。
本人が壊すのではなく、勝手に周囲が壊れるというかなりのヤバさをお持ちのようで。
(悪意が全くない部分は、ある意味、ゴンと同じ部類の人間なのかも)

元居た部署の女性からは恨まれ、現在の部署でも男性社員がやたらと市川を贔屓するせいで女性社員から恨まれるはめに。
(今の職場に至っては、男性社員が勝手に市川に惚れ、暴走し、それに女性社員が巻き込まれてその怒りを市川にぶつけるという超絶悪循環状態)

市川は誰にでも良い顔をしてしまう所はあるものの、仕事はしっかりするし、優秀。
けれど、「可愛いから契約が取れたんだよ」などと言われてしまい、自分のしていることが評価されずに常に息苦くなっている様子は、読者の息を自然と苦しくしてしまうほど。

そんな中、唯一、市川の仕事をしっかりと評価し、贔屓目無しで庇ったのは慎二でした。

惹かれあう慎二と市川の関係も気になりまくる

自身の八方美人さに自己嫌悪する市川に対し「八方ブスより良くね?」と言ったり、市川の陰口を言う社員に「生産性の無い悪口の方が反吐がでる」と言う慎二。
そんな彼に市川は惹かれているようです。

また、慎二も市川の懸命な姿に惹かれている描写がある上、彼女とは話がしやすいと感じている様子も。

5巻では互いを好意的に見始めているところで終わりましたが、6巻では更に進展する気がしてドキドキしています。
(慎二が好きからの天然モラハラ性質を出したり、市川が豹変しなければいいカップルになれそうな気がします)

【感想】

凪が無意識に相手を見下していた関連の描写が凄くエグくて大好きな巻でした。
今まで凪はキャラとして好きだけど、たまにモヤモヤするなーと思ったのはこういう闇があったからかもしれません。

でも、ああいう風に解釈しないと嫌いな人とニコニコして話すの難しい場合もあるよね…そういう意味では慎二の外面の良さは本当神レベルだと思います。
(慎二は凪へのモラハラがなければ本当、推せるのに…)

あと、凪が苦手だったお客さんこと桃園の台詞(まっすぐ突っ込んでいける三下ザコになりたい~のやつ)が形容し難い形で刺さって彼のことを嫌いになれませんでした。
社会で理不尽なことに遭遇しまくるとああなるよなあ…的な。

市川はゴンとは別モノの天然だったようで。
ゴンは何だかんだで楽しんだ生活できるけど、市川はゴリゴリと精神をすり減らしてるから笑えない…

女性社員へのフォローの仕方が嫌味っぽいみたいな指摘されてましたが、市川の立場でイキったらそれはそれで女性社員からイジメられるのである意味、積み状態になっているように見受けられました。

テレビ見てる最中、素で「朝ドラヒロインって生きてることを世界に許されててすごい」って感じるの、相当病んでると思う……

6巻では凪だけじゃなく、慎二・市川・ゴンがそれぞれ大きく動きそうなのでとても楽しみです。

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