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【ネタバレあり】賭ケグルイ80話「幸せな女(後編)」→理にかなう少女の行動は、悲劇の火種となった

ガンガンJOKER12月号、読了しました。

本記事とずれるので詳細は割愛しますが、最終回ラッシュが激しく、切ない気持ちで読み終えた後、現在のマンガ界事情について色々と思うところが芽生えてしまったり……

さてさて、今回の賭ケグルイ、80話前半で不穏だった定楽乃の言動から生じた家畜たちの不信感の結果が垣間見える因果応報的な話となっています。

また、定楽乃の従者であるユミに関する秘密と、等々喰家の事情も分かる内容となっているため、定楽乃とユミがお好きな方はかなり滾るかも!?

因みに双は想像外の展開になっててビックリしました。
(仮)は安定の(仮)。凄い動きの綺羅莉が見たい人は必見です。

 

本ページでは、ガンガンJOKER2020年12月号に収録されている、賭ケグルイ80話「幸せな女(後編)」の内容をまとめております。

ネタバレを多く含んでおりますので、これから読む予定の方・単行本派な方はお気を付けください。



賭ケグルイ80話後半の内容をまとめてみた

前回(80話前半)のおさらい

双頭蓮館2ターン目にて、大犬が鈴井との対戦で敗退。

顔を青ざめる大犬に対し、定楽乃は「運が無かったな」と告げるのみ。
更に、その後の対応から、雉岡・猿ヶ谷からも不信感を抱かれることに。

また、この時点で定楽乃と夢子は心の内で『勝ち』を確信。

 

続く、双頭蓮館3ターン目では、定楽乃の言動に反感を持った雉岡&猿ヶ谷が指示を破り、勝手な行動をとったせいで猿ヶ谷が敗退。

 

一方、夢子側にいる蕾も『夢子か定楽乃を脱落させる』という脱家畜の条件を提示されており、それを実行するか否かで迷う姿も。

NPCに同情しつつも冷徹さを維持し、自身の勝ちを最優先する定楽乃、主を信じて動くユミ、勝ちを確信しながらもリスクを積極的に取っていくスタイルを選ぶ夢子と、それを見守りつつ行動する鈴井、他の仲間が敗退し、追い込まれる雉岡。

……それぞれの思惑が交わる中、4ターン目が開幕しようとしていた。

 

 

今回(80話後半)のストーリー

双頭蓮館4ターン目。

 

窮地に立たされ、焦っていた雉岡は、定楽乃への不信感を増しながら付与された点数を確認。
すると、運よく、最高得点である12点を取得していました。

 

雉岡は、再び夢子に勝負を挑もうと考えるものの、自分たちを見捨てた定楽乃にターゲットを変更。

しかし、定楽乃の持ち点はユミからの献花含め13だったため、敗退確定に。
余りに都合が良い状態に雉岡はイカサマだと叫ぶが……

 

「13点は毎回取れますよ」

真相を明かす夢子。

双頭蓮館の独自な形は、ギャンブルによく使われる『ある道具』がモチーフになっており、その仕様・法則性を察知し、信頼する相手と情報共有すれば13点は取得可能とのこと。

定楽乃も夢子と同じく双頭蓮館で13点を取り続ける法則性に気づいていたが、自分側についたNPCたちには告げていませんでした。

 

理由は『知らないほうが、本人のためだから』
(常に13点を維持するのはいわゆる「守り」であるため、NPC側の勝利条件と乖離してしまうので)

 

一見、合理性に基づいているものの、後が無い雉岡たちからすれば、自分達を見下し、馬鹿にしている解釈にも取られる行為。

 

後者だと感じた雉岡は、かつてユミに渡されたナイフを手に取り定楽乃を手にかけようとします。

しかし、ユミに阻止され事態は一変。
血を流して倒れるユミと、ユミの傍に駆け寄ろうとするが、足が不自由のため、叶わぬ定楽乃。

 

主の言動が原因で負傷したユミが発した言葉は……

 



80話後半に登場したキャラクター

  • 蛇喰 夢子
    本作の主人公。定楽乃と同じく、双頭蓮のトリックを見破り、トータル13が出る必策を理解していた。
  • 鈴井 涼太
    夢子と共にギャンブルに参加している少年。
    ユミが雉岡に刺された際、かけよる姿が描かれている。
  • 等々喰 定楽乃
    百喰一族の調整を稼業としている少女。
    合理的な行動をする余り、NPCたちの反感を買い、結果的にユミが刺される原因を作ってしまった。
  • 等々喰 ユミ
    定楽乃の従者。雉岡から定楽乃を庇い、傷を負ってしまう。
    過去の回想では、彼女は一族の人間ではなく、拾い子だったことが発覚する。
  • 蕾 菜々美
    双頭蓮館のNPC(家畜)で唯一、夢子側にいる少女。
  • 相沢スカル
    選挙管理委員の少女。
    雉岡の暴走を止めようとするが、負傷者を出してしまい、保健委員を呼ぶ。
  • 雉岡萌
    双頭蓮館のNPCとして呼ばれた家畜。
    脱家畜のため、参加し、定楽乃側につくが、仲間の大犬と猿ヶ谷は敗退。
    残る雉岡は、定楽乃への不信感が達することで、自壊。
    その後、残酷な真実を告げられ暴走してしまう。

 

【感想】心と合理性のさじ加減って難しいし、正解が無いよねな話

双頭蓮館のトリック、夢子の解説を読んで腑に落ちたものの、自分だったら絶対に気づかないやつだなと。
ギャンブルに精通しているかにもよりますが、全体の形がただの仕様ではないと察せたかが重要だったようですね。
(夢子・定楽乃からすれば、綺羅莉が指示して建てた情報の時点で、何かしら意図があるよね的な出だしだったのかも)

雉岡は相当、余裕がなかった状態なのに、負けた後に知らされてなかった情報を明かされた後、(本人に悪気がなくても)定楽乃にああ言われたら暴走するよ…と納得してしまう部分も。

定楽乃が大人たちを切り捨てていく行動を何度もしてきた過程で、見捨てられたと感じた相手がどう思うかを考えられないor考えないようにしてきた結果なのかも。
一族の環境自体が異質だから、そうでない人間に同じことをしたら、反感買いますよね……
ある意味、等々喰の闇。

前にミラスラーヴァが綺羅莉より定楽乃の方がトップにふさわしい話していましたが、ここ数話を見ると、定楽乃は定楽乃で問題がある印象に思えました。

 

ユミが定楽乃に対し「(定楽乃が皆の幸せを考えていると)きっといつか分かって貰えるよ」と告げた言葉は、純粋に彼女を応援する言葉にも聞こえますし、実は定楽乃の言動が今回のように周囲に理解されにくいけれどユミだけは彼女を肯定し続けている関係性にも感じました。

過去に定楽乃が尾喰家と陰喰家のトラブル時に間に入って解決していたり、一族内の争いを静めていたのは、あくまで一族同士(ある程度同等)だからスムーズにいったのであって、今回のは大事なことは伝えない(定楽乃は相手の立場を考えての選択だったけれど、逆効果になってた)ことや、多少なりともNPCたちを見下していたのが原因にも思えたり……

 

大集約戦の芽亜里みたいに、相手を放置してたら死ぬ→ギャンブルの中止不可な状態ではないものの、次回では、ユミの治療のために双頭蓮館のギャンブルを中止するか否かと揉めるのか?

もしくは、スカルが保健委員を呼んでいたので、ユミは脱落扱い→定楽乃が味方0の状態で負けギャンブルに挑むのか……?
今回で明かされた、毎回13点が取れる規則性を考えると、定楽乃だけで夢子たちを倒せる確率は0なんですよね。

自分が一人になって、ユミの存在を改めて感じたり、NPCにしたことを理解する展開もありだなと個人的に期待しております。

管理人
管理人

定楽乃とユミの出会い回想、ユミの背景事情に驚いた上に、定楽乃がいかに一族と、一族を支えていた大人たちに敬意を抱いているかが分かる印象的なシーンでした。

言動がアレで非情に思われがちな定楽乃ですが、ユミを大人たちから「自身の為に使え(活生かすも・殺すも定楽乃の自由)」という定であてがわれていたにも関わらず、大事にしていたのを考えると、根は優しい子だと思いたい。