コミックレビュー

伝説の腐女子作家さんの曝露が詰まった「腐女子になると、人生こうなる!~底~」が壮絶ながらも憧れの念を抱かずにはいられない!

腐女子になると、人生こうなる!~底~は、同人誌に出会ったのを機に
『オール5&偏差値80以上の優等生』から『テストの点数は1桁が普通の原稿狂い』…と人生が大きく変わった伝説の腐女子・御手洗直行先生のハートフルな生き様が描かれたエッセイコミックです。

(※同人誌=自分の萌え・好きを表現するために自ら資金を出して制作する本。最近は「薄い本」と言われてることも)
(※腐女子=男性同士の恋愛が好きなオタクだったり、ただのオタクだったりと最近は色々な解釈あり。管理人も腐女子です)

高校時代は、同人誌印刷費用のために、バイト・原稿…学校では授業を受けずにひらすらネーム。
専門学校時代でも変わらず、必須出席率が足らずなどの修羅場になりつつもなんとか卒業。

その後はひたすらひきこもって同人誌を描く日々…
20代は同人・原稿・寝るしかせず。

とにかく『ヤバい』としか言いようのない。
けれど、その一貫性と熱さがリスペクトしたくなるかもしれない。

今回は、そんな中毒性が凄まじい1冊を読んだ感想をまとめております。



同人活動者なら分かり悶える小ネタラッシュが止まらない

自称・底辺だけれど、好きに対する熱さに感動すらしてしまう

御手洗先生といえば、ジャ●プ系同人誌を中心に有名な方で商業アンソロジーでもお名前を見かけていたため、当時、同人はまりたて&BL初心者な自分でも知っているほどでした。

そんな御手洗先生は同人という存在に出会ったのをきっかけに、
優等生から(成績が)底辺の学生にクラスチェンジし、20代は実質ひきこもり作家となったと描かれています。

しかし、同人誌を出すためにバイトをして、イベント会場が遠いならばスケジュールを立てて遠征、締め切りのためなら手段は問わずに描き切る。

…という、好きへの情熱を長い間、貫き切っているところは、いかに趣味からのスタートとはいえ、並大抵の人間はそこまで出来ません。

ましてや、そのまま商業作家を続けることも至難の業です。
(一応、同人活動経験のある自分は、挫折をしたり妥協をしたりなどをしている故、御手洗先生の足元にも及ばないと感じて読んでいました)

それが『個性』『強み』になっていて生活ができていると考えると、自称・底辺の経験は成功の種だったのでは?と思わずにはいられません。

似た生活をすると人によっては家族ともめる可能性がありますが(御手洗先生のご家族は同人活動に理解があった模様)、好きを持ち続けるメンタリティを学ぶにもいい本なのでは、と個人的には感じました。

 

同人経験者が頷きすぎて首がもげるレベルの絶妙な「あるある!」ネタ

作中、メインとして語られている御手洗先生の同人エピソードの数々。

多少なりとも同人活動を経験した方なら自然と同意してしまうお話がたっぷり入っています。

  • ダンボールにサンプルイラスト(BL絵)を貼りつけてくる印刷会社との攻防戦
  • マイナーカップリング好きっぷりと趣味は年を重ねるとこじれていく説
  • 嗜好が同じ作家さんはジャンルが変わっても自分の目当ての本を出している
  • 売上は同人誌を買うお金に回すので貯金はたまらない
  • 交流のある作家さん、仲がいいはずなのに本名がパッと出ない
  • 地獄の原稿が終わったら更に地獄なコピー本(無料配布・オマケ)作りを自らやりだすMっぷり

などなど。

本の所々にあるやたら胸に刺さるメッセージもかなり癖になります。
読むだけで過去の封印した記憶が呼び起こされるかもしれません。

因みに、私は数人で合同サイトを作る話(カップリングや傾向がバラバラだけれど、一人でサイトを作る根性は無い故の決断)やブロック崩しゲーム・アンケート・BBS関連がとても身に覚えがあり、気づいたら過去の黒歴史扉が開かれていました。

 

オタクのツボをめちゃくちゃ突いてくる小ネタの数々

上項目にて、同人活動者の分かりみを自然と呼び起こさせてくれると書きましたが、
同人活動経験のないオタクのツボも絶え間なくついてくれるのが本書の魅力でもあります。

  • 同人誌の再録本を気にせず買い続けたら我が家に同じ漫画が4つある状態に
  • 退場した推しの誕生パーティーは自然と●回忌になる
  • 推しの退場回はトラウマすぎてブルーレイは買うけど開封すらできない
  • キャラクターの誕生日に限ってはやたら覚えがいい

私は「退場した推しの誕生パーティーは自然と●回忌になる」ネタが同じジャンルで経験済みなため、異様なほど共感してしまいました。

オタクの人たちって結構思考が似るんだなと言う謎の感動も。

また、伏せ時になっているものの、かなりギリギリな範囲で御手洗先生とお友達作家さんたちの推しキャラ・カップリングが描かれていて「あ、これ私も好き!」となる発見を楽しめる醍醐味もあったりします。

 

【まとめ】ある意味、オタクの自己啓発本

ナ●ト本の締め切りが原因で『本来、人間の体内には存在しない菌』が発生してしまう御手洗先生is何者……!?
(1番笑ったページです)

自身がオタクかつ同人活動経験者なので、楽しみつつ、御手洗先生スゲエ!ってなりながら黒歴史を思い出し悶え、読了後は真っ白になっていました。

クッソ長いインデックス文章…アクセス解析…うう、頭が……

ヤバいと評されている学生時代~20代のアレコレについては、人気作家を長年続けられ、現在も商業活動されている結果を見ると『同人って毒だわ』よりも『何かを極める大切さ』の方が印象に残った次第です。

…これはもしかしてオタク的な自己啓発本なのでは?(錯乱)

同人活動に関するエネルギー補充のきっかけになるかもしれないので、悶々している方は是非、お試しあれ。