約1時間で一途で報われない想いと胸糞展開が堪能できるノベルゲーム
このアプリがオススメのユーザー
- 少ボリュームなのに濃厚なノベルゲームがやりたい
(早く結末が知りたいのでサクッと読めるノベルが読みたい) - バッドエンドではないけれど、悲しさの残るシナリオが好き
(くっつくようでくっつかない男女物が好き) - 天才VS天才という、ちょっと中二病的展開が大好物
(孤高の人間が抱く拘りや信頼感についても堪能できます)
Hello 殺戮 worldは、最愛かつ数少ない理解者であった妹を理不尽な事情で失った女性・豊田零(ある理由で孤高の天才クリエイターをしている)が復讐を企てる一方、彼女の復讐をどんな形でもいいから止めたいと奮闘する青年・本田一(零に負けずの天才クリエイター)が織りなす頭脳バトル系ノベルゲームです。
ゲームのボリュームはかなり絞られていて1時間(じっくりやっても2時間かからない?)ほどでクリアできてしまうのですが、シナリオがしっかりしている上、読了後の悲壮感が色濃く、ノベルゲー好きには是非プレイして欲しい内容。
以下、Hello 殺戮 worldの魅力を語ったレビュー文章となります。
ちょっとだけネタバレをしておりますのでご注意くださいませ。
(物語の核心については、ぼかしております)
Hello 殺戮 world、ここが面白い!
ストーリーが王道ながらエンディングが全て悲しい
Hello 殺戮 worldのメインストーリーは、妹の復讐を遂げたい零と、零を殺人者にしたくない本田の頭脳戦となります。
復讐をしたい者VS復讐を止めたい者……という内容自体はある意味王道テイスト。
孤高の天才ゲームクリエイター「豊田零」。 その唯一の理解者、妹「千香」が殺される。
犯人が逮捕されるも証拠不十分で釈放。
納得できない豊田は妹を殺した犯人に復讐を果たした後、自害する計画をたてる。
豊田に恋心を抱いている同じく天才ゲームクリエイターの「本田一」は豊田の計画に気が付き、それを阻止しようと奮闘する。
【引用】Googleplay内に、Studio Shoutarou様が掲載しているストーリー解説
ゲーム中は、零の復讐を止めるため動く本田(男性キャラ)視点となります。
(物語序盤で語られる零の性格や思考パターンを元に推理しつつ行動する感じ)
ノベル部分が非常に多く、選択肢は5~6個(?)くらい。
エンディングが大きく変わる選択肢は2つで、ストーリーを読み進めていると『これ外したら絶対に失敗エンド行きだ』と分かるので難易度は低めです。
零の殺人計画については彼女がやたらと●●に拘るので察しがつきやすいかも?
選択肢によって変化するエンディングが4パターンありますが、全部バッドのような物というのがこのゲームの見所でもあります。
零を想う本田と、零の変えられない思考パターンが交わらない故の結末が辛い
ユーザー側の主人公である本田が「どんな手段を使ってでも零を殺人者にしたくない」と思うのは2つの大きい理由があります。
1つは零への純粋な恋心。
もう1つは、零にとって亡くなった妹・千香のように、本田にとって零は唯一の理解者であったこと。
本田も零と同じく頭脳明晰の天才でしたが、頭に浮かんだ案を相手に伝えられない欠点があり、それ故、周囲からは変人扱いされ、避けられていた過去があります。
そんな本田の気持ちを理解し、同じレベルの会話ができたのが零だったのです。
(零と本田は学生時代からの幼馴染。零も本田をかなり気に入っていたようですが、優先順位は妹の方が上だった様子)
最終的に本田は零の妹を殺した加害者たちにある手段をとり、零の復讐を止めます。
(かなりの力技ですが、短時間であれだけのことを出来たのは天才設定ならではだと思いました。そして結構グロい)
しかし、本田の行動を知った零は感謝の気持ちと共に別の感情が芽生えます。
それは零が幼いころから一環として抱いていた変えがたい物で……
エンディング4つの内、3つは零の殺人を止められます。
……にも関わらず、零のある考えとそれを理解してる本田という絶対にブレない関係性から、二人が幸せに結ばれる結末はありません。
(双方、殺人者にならなくても結ばれません)
けれども、その中に少しだけ報われや温かい物があるのが魅力。
安易に変わらない二人の思考があるからこそ、本ストーリーが色濃くなっているのかもしれませんね。
本田と零の『理解者』故の結末がとても切なく面白かったです。
(変にご都合ENDを入れなかったところが個人的に好きでもあったり)
なんだかんだで本田は熱血漢な印象があったので(感情の表現が下手なだけ)零と結ばれていたらいいカップルになれていたんじゃないかという妄想が過るくらいキャラクター設定がしっかりしていたのも好きポイント。
残念だったのは、短時間ノベル故に零と本田の脳内バトルは実質1回だけだったところですかね。
もし、長ノベルバージョンが出るなら実は零が失敗を見据えていくつも案を練っており、それを本田が1つずつ処理して行くのとか見てみたいです。
加害者の男性たちはあまり出番はないけれど、かなりゲスいのである意味あれくらいの出番で良かったのかな…と今更だけど感じました。