ノンケヤンキーと同性愛者男子のビターな青春コミックが何年経ってもお気に入りな理由
コンビニくん。は、中学時代に『とある事情』で不登校になってしまった遠藤央(えんどう なかば)が社会復帰のため、伯父が経営するコンビニでバイトをし、自分とは正反対の山井幸平(やまい こうへい)と出会い変わっていくBLコミックです。
ストーリーは、初対面から印象最悪なヤンキー系の山井と一緒にバイトをしたくないと憂鬱な思いを抱いて帰宅する遠藤は偶然、山井が猫を助ける場面に遭遇。
その猫を遠藤が引き取ったことにより二人は仲良くなる、という王道的な始まりとなっています。
しかし、開始が王道だからといって以降も王道一辺倒ではなく……
短い作品ながら、『同性愛であること、同性愛を向けられること』が軸に置かれていることから萌えだけでなく、色々を考えさせられる内容で個人的にとても好きなBLコミックだったりします。
BL好きさんは勿論ですが、ストーリーが凝った物をお求めの方にとってもオススメ!
因みにこちらのコミックは「私がモテてどうすんだ」と同じ作者様(ぢゅん子先生)が執筆されています。
ぢゅん子先生はわたもて…もとい、ラブコメ漫画家のイメージが強かったのでBLコミックを描いているのを知った時、相当驚きました。
男子キャラのレパートリーが多くて凄いなとは思っていたのですが……
(余談ですが、わてもての推しは六見先輩です)
以下、ややネタバレを含んだ個人的な感想です。
コンビニくん。の面白いポイント
コンビニくん。でのメインは遠藤の『同性愛者』設定だと思います。
彼の同性愛者設定はただの属性ではなく、「何故、遠藤が不登校になり心を閉ざしてしまったか?」に根強く絡んでいます。
遠藤は中学時代、同性の友人に好意を抱きそれがきっかけで不登校になってしまった過去が中盤で判明。
周囲からからかわれるなど、イジメのターゲットにされていたようです。
山井が作中で非難するよう、遠藤をイジめた側が相当のアレなのですが、遠藤に好意を抱かれた相手である男子・国江田の言い訳が自分勝手と解釈しきれないのがとても印象的なんですよね。
「(遠藤を)友達だと思ってたのに裏切られた気分だった」
「(自分は違うのに)周囲から同性愛の噂をたてられて困ってた」
そもそも、国江田が遠藤を裏切ってイジメを誘発させてしまったので「お前は何を言ってるんだ?」状態になりつつも、同性愛者でないのに、周囲からそう見られたり仲の良い友人から異性を見るような目で見られる…というのは当人でないと分からない悩みなのかなと感じ、凄く考えさせられる部分でした。
ただ、国江田は山井に比べると同性愛に対する理解はかなり低いのが見受けられたので、嫌な思いはしたけれど遠藤は山井に会えて良かったのでは?とも感じたり。
国江田の問いを心中で返す山井の某シーンはとってもカッコイイので必見です。
また、元々ノンケな山井が遠藤から好意を寄せられているのに気づき、受け入れるまでの流れも丁寧なので、読めば読むほど山井&遠藤の関係を応援したくなってしまい、ぢゅん子先生の力量を感じずにはいられませんでした。
(山井は山井で戸惑う姿がありますが、好きならいいだろ!テイストで男らしく受け入れる感じです)
最後は山井が遠藤の同性愛の件も込みで好意を抱き、結ばれるハッピーエンドな結末ですが、途中までは苦くて辛い話があるため、読了後の後味はかなりいいです。
ラストのラブシーンは甘くて最高なので絶対にオススメ!!!
コミック内には、メインであるコンビニくん。の他に社会人男性×学生のすれ違いBL漫画(年齢差があるからのすれ違いが絶妙です!)と、コンビニくん。内に登場したハル(山井&遠藤の先輩)の短編ストーリーが掲載されています。
ハルのストーリーでは、ハルが山井の恋愛相談に乗りながら自らの恋愛歴を振りかえる内容でキュンキュンとギャグがミックスされていて、とっても濃厚。
ラストではハルにも春(想い人候補)が訪れる描写があり、その相手が私的にはとっても好みなので続編とかでハルの話を描いてくれないかなと●年ずっと思ってるくらいです。