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【漫画】本当に寂しい人は誰?親からの呪縛やトラウマと向き合う漫画「さみしいひと」を読んだ感想

投稿日:2017年8月21日 更新日:

最初から最後までタイトルの意味を考えさせられる漫画

会社をクビになった日に出会った女性から「私の代わりに弟を守って」と頼まれた倫子。
弟=諒はピアニストを目指す少年だった…。

「かなしいひと」は「泣いてるのに誰からも助けて貰えない」ことに対して執着している女性・倫子「夢を親に認めて貰えない」天才ピアニスト・諒が互いのコンプレックスや呪縛と向き合っていく短編漫画です。

物語は、同僚のミスを庇い会社をクビになってしまった倫子が帰り道に静かに泣く礼華と出会い、彼女を慰め、気遣いの言葉をかけるところから始まります。
(この時点で倫子の「泣いてるのに誰からも助けて貰えない」に対する拘りが主張されていて読みなおす時に非常に面白いシーンだったり)

そんな倫子の優しさに触れた礼華は新しい仕事先として弟(諒)の世話を依頼。
ちょうど、勤め先を無くしていた倫子はその依頼を受けようとしたが……

 

「さみしいひと」の見所

ストーリーを読み進めていると、倫子と諒はどちらも「母親からの呪縛」で苦しんでいる似たもの同士ということが分かります。

倫子は度の過ぎた過保護な母親を持ち、彼女の生活の軸は母になっているため、今まで様々なことを捨てています。
時には暴力を振られ、理不尽な言葉をかけられ……
それでも母が好きな倫子は母を肯定していくうちに、辛くても泣けない女性へとなっていきます。

諒は恵まれた才能をピアノへの愛情がありながらもそれを「無駄・不要」と母親に切り捨てられ、ひたすらに否定をされて生きてきました。
(諒の父親は作中に出てきませんが、彼が唯一心を開いてるのが姉の時点でお察し…という感じ)
そのため、姉以外とはまともなコミュニケーションがとれずな少年へと成長して行くことに。

そんな二人が衝突しあい、互いの闇を理解しながら「自身が望む未来とはなにか?」を見つけていくところが非常に面白い漫画です。

ラストは倫子・諒だけでなく、倫子の母と諒の姉・礼華も笑顔な後味の良いストーリーとなっているので、前半の暗さ→後日談の明るさのギャップに涙を感じずにはいられませんでした。

 

本当に「さみしいひと」は誰?

私がこの漫画で最も面白いと思ったのはタイトルの「さみしいひと」が誰だか考察することでした。
作者の斎藤けん先生は誰が該当するかを書かれていないので、読者によって答えが異なる部分なのではないでしょうか?

私個人としては諒と礼華の母親が「さみしいひと」なのかな?と感じた次第です。

物語のメイン・サブメインのキャラは誰もが何らかの悲しみや後悔、コンプレックスを抱いています。

  • 長年、母からの過干渉で泣けなかった倫子
  • 才能を認めて貰えず、大好きな姉の人生を犠牲にしてしまった諒
  • 母から弟の諒を守る為、自分の意思や夢を捨てた礼華
  • 過去のトラウマから娘が泣けなくなってしまうほど束縛してしまった倫子の母

彼女たちに比べると諒と礼華の母親は負の感情が一切描かれておらず、作中のラスボス的な立ち位置にいる存在で流石にないだろ!?と思われるかもしれませんが、彼女は幼い頃から両親に悪い意味で甘やかされ、人の気持ちや痛みが分からない女性へと成長していることが分かる描写があります。
子供である諒と礼華からは嫌悪されており、周囲には彼女の非を注意してくれる人間はいません。

物語のラストでそれぞれが未来の道を掴んでいる中、ただ一人、変わらずに終わった諒と礼華の母親に私は「さみしい」という感情を抱きました。

モモコ(管理人)
短編漫画ながら、考察のし甲斐があるとても読み応えのある漫画でした。
キャラクターの感情表現が絶妙で素晴らしいの一言。

普段、少女マンガを読まないから…と候補から外すにはもったいない1冊だと個人的に思っております。

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