コミックレビュー

「凪のお暇7巻」が俺たちの地獄はここからだ!で真顔になったの私だけ!?

空気を読むことに疲れ、壊れた女性の奮闘コミック・凪のお暇。

6巻では凪の故郷(北海道)の恐ろしい閉鎖空間さや、凪の母親・夕が抱える闇の欠片、恋を自覚してない(?)ゴンの悶々具合などが描かれていました。

また、慎二と市川が男女の仲になっているようなシーンもあり、二人の今後も気になるファンは多かったのではないでしょうか。

ラストでは母親と凪の直接対決(今の生活がバレてしまっては田舎に連れ戻されてしまう)の助っ人で現れたのは、桃園ではなく元彼・慎二!?

しかも、波乱と嘘で塗り固められた顔合わせは、驚くべき展開に…。

初めて読んだ際、素で「なん……だと!?」とB●EACH状態になったのは私だけではないはず。

以下では、まだまだ、終わらない、むしろ新章開始!な7巻の感想をまとめました。
ネタバレ前提の内容となっておりますので、ご注意。



凪のお暇7巻が幸せエンドに見せかけた鬱ルート突入回だった件

母の来襲→嘘で固められた顔合わせを終わらせたのは……

元々、凪の彼氏役をする予定だった桃園が怪我で行けず代打を託された慎二。
凪は突然の展開に慌てるものの、夕は慎二と終始、穏便な関係を築きあげます。

慎二の会話術が凄いだけではない。
何かがおかしい、母ならもっと、警戒して痛い所を突いてくるはずだと混乱が収まらない凪。

更に、予想以上に観光を楽しんでいる夕を見て困惑する凪ですが、以前、スナックのママたちから「母親を無敵の仮想敵」にしているのでは、と指摘されたことを思い出し……

「もしかして、うちお母さんってごく普通の人間だったの!?」

そして凪は、普通の人間だった母に嘘をつけない事実を伝えてしまいます。

途中で夕から「みじめな暮らしをしているのはお母さんのせいって意味?」と言われたりなど、修羅場気味になるものの、仲間がいること、楽しく生きれていることを話すと夕は

「いい友達がたくさんできて……そのことは本当に嬉しかった」

と娘に告げ、北海道へ帰って行きました。

凪は、これから時間をかけて母と分かり合えるかもしれない。
今の仲間がいれば自分は変われる。

そう決心した矢先、まさかの展開が待ち受けていました。

罪悪感と絆を使っての強制送還×監禁

夕との和解フラグが立ち、爽やかなエンディングに向かうと思いきや、凪は虚無な表情を浮かべ、故郷・北海道に身を置いていました。

まさに、冒頭で書いた、なん…だと…!?状態。

実は、祖母から夕が怪我をしたので生活がままならないと聞き、凪は一時的に故郷へ戻っていました。

しかし、大怪我だと思っていた夕の足はそこまで悪くなく、祖母にどんどん仕事を押し付けられ、帰れない状態に。

 

2週間ほど経過し、どうするべきか悩んでいた凪は、夕が実家で祖母から辛辣な言葉を常にかけられている上に周囲から雑な扱いを受けていること、お暇前(会社に居た頃)の自分と同じ状態になっていることを知ってしまいます。

優しいと思っていた祖母も、夕を馬鹿にするため凪を褒めるという歪んだ存在でした。

そして、田舎の閉鎖空間の空気にやられてしまったのか、凪は同級生との再会した際、マウント攻撃をされてしまうのですが、かつての『相手を見下すことで心を保つ手段』を再度使ってしまっていました。

 

凪に新たな男性の影!?

故郷で黒歴史時代の同級生と会うなどをし、表情を歪める凪ですが、その中で、比較的、穏やかな再会をしたのが、岩井勝。

彼は年下の青年で、幼少期に少し遊んだ仲。
勝自身も母親から凪との思い出を聞くまで忘れていたほど。

また、凪は勝の陽オーラを見て、住む世界が違うと認識しており、特に進展は無さそうに思えましたが、勝は雪かきを毎日している凪の姿を果敢だと評し、何らかの感情を感じている様子が。

勝が友人たちとのノリに、ややついていけないようなコマを見ると、今後も出番が増え、凪と新たな関係ができあがるかもしれません。

明かされる凪父の詳細

実家で清掃中、凪は偶然、若き頃の夕が夢を綴ったノートを見つけてしまいます。

以前の夕は、叶えたい夢があったようで、中には母とは思えないほどの希望に満ちあふれた文章が書かれていました。

(あれ…お母さんと写ってる男の人、誰?)

ノートをめくっていると、写真が1枚。
そこには、若き頃の母と見知らぬ男性が写っていました。

男性の髪形が自分とそっくりなことに目を見開く凪。

その後、祖母から聞かされたのは
「かつて夕が夢を追い求めて東京にいたこと」
「その際、悪い男に騙されて(凪を産むハメになった)戻ってきたこと」

凪は自身が産まれたせいで、夕の夢が壊れてしまったと察します。

因みに凪の父親と思われる男性は、今の凪と同じの天然パーマ。

夕が素の凪の髪型を嫌うのは、見苦しいなどではなく、交際相手を思い出してしまうからだったのかもしれません。



凪を追いかけるゴンに劇的な変化が

凪を案ずる坂本の采配(凪実家にノートPCとポケットWifiを送った)で、凪は空き時間にうらら母娘をはじめとした、アパートのメンバーたちとカメラ付きのチャットで交流ができるようになりました。

そして、チャット越しで話す凪の歪んだ笑顔を見たゴンは、無意識の内に彼女が住む北海道へ向かいます。
凪がどこに住んでいるのかも確認せず、ただただ本能で動いた瞬間でもありました。

道中では、自身の立場が慎二だったら、事前にサーチを怠らず、凪の実家までスムーズに行けたのかもと考え、嫉妬心を抱く姿も。

更に、凪とおいしいものを食べたいと想いを馳せたり、ネットカフェで逆ナンされた際、いつもなら相手の望むことを即座に悟り実行するのを、あえてしない選択をしました。

確実にゴンが凪に恋をし、変わろうとしている姿は、まさに少女漫画のヒーローでした。
※その後、慎二と桃園からも「少女マンガ」かよとつっこまれる模様

そんなゴンが凪と再会したら、どんなドラマが待ちうけているのか…非常に気になるところ。

慎二、新しい恋に亀裂フラグ!?

慎二は、新しい恋人・市川への庇護欲と愛くるしさに惹かれながらも、彼女の定期的に行われる『かわいそうな自分語り』に対して、形容し違い鬱憤が溜まっている様子。

過去に慎二が市川に「八方ブスより良い」とアドバイスして解決したと思いきや、市川本人が引きずって数え切れないほど愚痴ってるようです。
(市川は定期的に話すことで自分は悪くないと肯定されたいタイプ)

そんな市川とのやり取りに、疲れを生じていた慎二は、自室で

「雑に扱ってもいい、丁度いい奴と喋りたい」

と感じながら話相手に選んだのは凪でした。
(桃園から凪の通話アプリのIDを教えて貰っていたので駄目元でコンタクトした)

結局、7巻時点でも慎二は凪を割りきれないどころか、素の凪とのやりとりに居心地の良さを感じていました。

しかし、相変わらず天然モラハラは継続している模様

社交的な市川こそ自分に合う相手で凪とは雲泥の差。
今度こそは「間違えない」と、元恋人を忘れようとする慎二でしたが、

友人に凪を馬鹿にされた際に憎悪の表情を浮かべたり、「実は凪が空気を読まずに選んだ初めての恋なのでは?」と自覚する姿が。

しかし、凪との関係をやたら「間違いだった」と解釈したがったりと、見下している雰囲気は相変わらず。

素の凪とは良い感じのコミュニケーションが取れている様子も見えますが、自身の天然モラハラ体質が変わっていないので、根本はそのままの様子も……

未だに治らないモラハラ体質(好きな子限定)は、仮に慎二が凪と寄りを戻したくなった際、大きな壁になりそうな予感がします。



【感想】絆と枷は紙一重

前半で凪と夕が意外に分かり合えるかも!?と希望を持たせての故郷編突入に驚きながらの読了でした。

うららちゃんをはじめとした凪の仲間たちが出てきて、夕は凪の周りに人が集まっているのを知り…という王道展開で終わるって思ったよね!??
群れから離れたイワシはその先で幸せを見つけましたとか、最高の終わり方じゃないですか!!!

実写ドラマが非常に評判が良く、もしかしたら、原作は更に長くなるか?的な邪推をしていましたが、引き延ばしか否かな前に、ただただ面白くて続きが気になりまくる!!!!
(余談ですが、ドラマのラストは、凪が夕に本音を暴露。慎二・ゴンどちらともくっ付かずな展開だったので、7巻以降は、あえて変えるかな?と勝手に予想してた)

6巻で凪の故郷がかなり陰湿だったのは知ってましたが、夕の扱われ方とかを改めて見ると気が滅入って読むのが辛かったです。
凪の祖母も相当毒っぽいものの、多分、民度や雰囲気故にああなってしまったのかと思うと辛い。

祖母は、夕を下げながら凪を上げるのを見ると、凪を夕を叩く為の棒みたいに感じてるようにも見えたり……
あと、家族の絆を盾にして娘と孫を縛りつけるの本当に怖い。

今後、凪と夕がもっとお互いの気持ちをぶつけあってそれぞれの道を歩んで欲しいんですが、どうなるんだろう。

あと、新キャラの勝が凪とどう関わっていくのかもドキドキ。
勝は周囲の友人たちが陽キャとDQNが交ったタイプっぽいのでそれで苦労してそうな予感。

ゴンが無意識で凪にどんどん恋して行動に移していくのがもうたまらなくて、7巻の中で一番胸きゅんしました。
しかも、いつもの相手に望む事をあえてしないのも…もう、良いね!!!
ネット検索で『凪ちゃんの家』って入力しちゃう天然さも可愛くてゴン熱が上がった次第。
あと、何だかんだでエリィにディスられるのを定期的に思い出すのもツボです。
(ゴンとエリィのペア、絶妙なやり取りで好き!)

ツボといえば、凪が夕に真実を話す際、慎二を「昔付き合ってたけど今は一切関係無い」と言った際に慎二がガチ真顔になってるのが萌えました。
プライド的な意味での表情かもですが、あそこまでハッキリ凪に言われたらダメージくるよなあ…

慎二が毒親との接し方を語る時、さりげなく慎二両親の過去描写もありましたが、あれ幼少期に見たらトラウマ物ですよね。
めちゃくちゃホラーなコマだった。
そして、帰ってこなかった兄との思い出も切ない。

また、慎二&市川は、一線を超えてラブラブに見えて、そうでもない不穏な感じも。

市川が何度も慎二に肯定して欲しいために自身の闇を語る心情は分かるので、私としては彼女をあまり責めたくない…。
けど、結局、市川が『空気を読んでる凪に近いタイプ』
しかも、慎二の根本的な性格はそのままなので、このままだと破局コースに行きそうな気もするんですよね。

そういえば、慎二が凪と夕の対決を除いてる際、「そっちに飲まれんな」と言いながら荒れた室内を思い出してましたが、慎二両親なのか、慎二が昔傷つけた誰かなのか…

管理人
管理人
最後に…桃園、お前は頑張ったよ。
(凪が夕と対峙する際のプランを何度も渋っても付き合ってくれてたみたいだし)
足を怪我した夕を心配したり、故郷に帰った凪の身を案じたりと、最初のイキリっぷりと嘘のようやん…!!
彼は巻を重ねるごとに良いキャラになって、コナリ先生のキャラ作りの上手さを感じているところです。

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